天の川の撮影適地を求めて

自宅(三重県四日市市)の近辺では、「天の川」が肉眼ではほとんど見えません。よく晴れた日、月が出ていない時間帯を選び、更には30分ほど車を走らせ、街の明かりがない場所まで出向いてもこの状況は大きく変わりません。

子供の頃(1965年前後)は、当たり前のように自宅から「天の川」が見えたように記憶しています。その頃は、居住地が現在の四日市市ではなく、夜空の暗さがやや有利な地域(松阪市や津市)であったという事情はありますが、その大きな違いに納得できません。

子供の頃からの憧れである「天の川」を、なんとか美しく鮮明に撮影したい。そこで、「天の川」の撮影に適した夜空の暗い地域を探し求め、そうした場所での撮影を計画しました。

天体写真の難しさは、⓵夜空の暗い撮影場所、②月明かりと天文薄明を避けた撮影時刻、③撮影機材と撮影条件、更には④天候、これらをすべて満足させる必要があることです。その中でも、①の条件が最も重要となります。

最近、ある機会に知り合った方(JAXA  Space Education Leader)から、「夜空の暗さ」を数値化したデータがインターネット上に公表されている事を教えていただきました。まずはこのデータを利用して撮影候補地を複数選定し、その候補地での「天の川」撮影にチャレンジしました。このページでは、その経過と結果をご紹介します。

「光害地図」で各地の"夜空の暗さ"を調べる

 「光害地図」(LPM=Light Pollution Map)が、インターネット上に公表(https://www.lightpollutionmap.info)されています。これは、人工衛星の観測データと各地で測定した夜空の明るさデータを使用し、世界中の"夜空の暗さ"を地図上で色分け表示したものです。

「光害地図」のSQM値

 22.0      ・・・  SQM値の最大値(=最も夜空が暗い)

 22.0~20.9 ・・・「天の川」が見える状況が多い

 20.9~19.4 ・・・「天の川」が見えることもある

 19.4以下    ・・・「天の川」が見えない、あるいはその危惧地

日本全域

三重県全域

四日市市周辺

松阪市周辺

志摩市・南伊勢町周辺

尾鷲市・熊野市周辺

「天の川」撮影候補地の選定

「光害地図」を活用して、三重県内のSQM値が高い地域を撮影候補地としていくつか選定しました(下表の青字で表記した地域)。

各候補地での「天の川」撮影結果

撮影地点①:自宅の近辺(四日市市)SQM値=19.6

撮影地点②:大羽根園(三重県菰野町)SQM値=20.5

撮影地点③:星の広場(四日市市水沢町)SQM値=20.7

撮影地点④:三重県民の森(三重郡菰野町)SQM値=20.7

撮影地点⑤:大洞キャンプ場(津市美杉町)SQM値=21.6

撮影地点⑥:旧川俣小学校(松阪市飯高町 )SQM値=21.7

      ・・・全天に雲が広がっていた為、不鮮明な画像となった

撮影地点⑦:鵜倉園地(三重県南伊勢町)SQM値=21.8